第53章 Zend_View

目次

53.1. 導入
53.1.1. コントローラスクリプト
53.1.2. ビュースクリプト
53.1.3. オプション
53.1.4. ビュースクリプトでの短いタグ
53.1.5. ユーティリティメソッド
53.2. コントローラスクリプト
53.2.1. 変数の代入
53.2.2. ビュースクリプトのレンダリング
53.2.3. ビュースクリプトのパス
53.3. ビュースクリプト
53.3.1. 出力のエスケープ
53.3.2. 別のテンプレートシステムの使用
53.3.2.1. ビュースクリプトを使用したテンプレートシステム
53.3.2.2. Zend_View_Interface を使用したテンプレート
53.4. ビューヘルパー
53.4.1. 付属のヘルパー
53.4.1.1. Action ビューヘルパー
53.4.1.2. Partial ヘルパー
53.4.1.3. Placeholder ヘルパー
53.4.1.3.1. プレースホルダの具象実装
53.4.1.4. Doctype ヘルパー
53.4.1.5. HeadLink ヘルパー
53.4.1.6. HeadMeta ヘルパー
53.4.1.7. HeadScript ヘルパー
53.4.1.8. HeadStyle ヘルパー
53.4.1.9. HeadTitle ヘルパー
53.4.1.10. HTML オブジェクトヘルパー
53.4.1.11. InlineScript ヘルパー
53.4.1.12. JSON ヘルパー
53.4.1.13. 翻訳ヘルパー
53.4.2. ヘルパーのパス
53.4.3. 独自のヘルパーを書く
53.5. Zend_View_Abstract

53.1. 導入

Zend_View は、モデル - ビュー - コントローラ パターンにおける 「ビュー」として働くクラスです。 ビューのスクリプトを、モデルおよびコントローラから分離するために存在します。 このクラスでは、 ヘルパーシステム、出力のフィルタリングおよび変数のエスケープ機能を提供します。

Zend_View は、テンプレートシステムに対しては特にこだわりはありません。 テンプレート言語として PHP を使用するか、 あるいは他のテンプレートエンジンのインスタンスを作成して、 それをビュースクリプトの中で操作することができます。

基本的に、Zend_View を使用する際には 2 つの段階をとることになります。 1. コントローラスクリプトが Zend_View のインスタンスを作成し、 そのインスタンスに変数を代入します。 2. コントローラが Zend_View に対して適切なビューをレンダリングするように指示し、 それによってコントローラがビュースクリプトを制御します。 そこでビューの出力が作成されます。

53.1.1. コントローラスクリプト

単純な例として、本の一覧を扱うコントローラがあることにしましょう。 そのデータをビューに表示することを考えます。 コントローラスクリプトは、おそらくこのようになるでしょう。

// 本の著者およびタイトルを取得するためにモデルを使用します
$data = array(
    array(
        'author' => 'Hernando de Soto',
        'title' => 'The Mystery of Capitalism'
    ),
    array(
        'author' => 'Henry Hazlitt',
        'title' => 'Economics in One Lesson'
    ),
    array(
        'author' => 'Milton Friedman',
        'title' => 'Free to Choose'
    )
);

// 本のデータを Zend_View インスタンスに代入します
Zend_Loader::loadClass('Zend_View');
$view = new Zend_View();
$view->books = $data;

// "booklist.php" というビュースクリプトをレンダリングします
echo $view->render('booklist.php');
        

53.1.2. ビュースクリプト

次に必要なのは、関連付けるビュースクリプト "booklist.php" です。 これは一般的な PHP スクリプトと同じですが、ひとつだけ違いがあります。 Zend_View インスタンスのスコープで実行されるということです。 つまり $this への参照は、Zend_View のインスタンスのプロパティやメソッドを指すことになるのです (コントローラによってインスタンスに代入された変数は、 Zend_View インスタンスの public プロパティとなります)。 したがって、基本的なビュースクリプトはこのようになります。

 if ($this->books): ?>

    <!-- 本の一覧 -->
    <table>
        <tr>
            <th>著者</th>
            <th>タイトル</th>
        </tr>

        <?php foreach ($this->books as $key => $val): ?>
        <tr>
            <td><?php echo $this->escape($val['author']) ?></td>
            <td><?php echo $this->escape($val['title']) ?></td>
        </tr>
        <?php endforeach; ?>

    </table>

<?php else: ?>

    <p>表示する本がありません。</p>

<?php endif;?>
        

変数の出力時に、"escape()" メソッドでエスケープ処理をしていることに注意しましょう。

53.1.3. オプション

Zend_View のオプションを設定すると、 ビュースクリプトの振る舞いを変更することができます。

  • basePath は スクリプトやヘルパー、そしてフィルタを配置する基底パスを指定します。 次のようなディレクトリ構成を想定しています。

    base/path/
        helpers/
        filters/
        scripts/
                    

    これを設定するには setBasePath()addBasePath()、あるいはコンストラクタのオプション basePath を使用します。

  • encodinghtmlentities()htmlspecialchars() などで使用する文字エンコーディングを表します。 デフォルトは ISO-8859-1 (latin1) です。 setEncoding() か、コンストラクタのオプション encoding で設定します。

  • escapeescape() で使用するコールバックを表します。setEscape() か、コンストラクタのオプション escape で設定します。

  • filter は、ビュースクリプトをレンダリングした後で使用するフィルタを表します。 setFilter()addFilter()、 あるいはコンストラクタのオプション filter で設定します。

  • strictVars: は、初期化していない変数に Zend_View からアクセスしようとした際に notice や warning を発生させるようにします。 strictVars(true) か、あるいはコンストラクタのオプション strictVars で設定します。

53.1.4. ビュースクリプトでの短いタグ

我々が用意する例やドキュメントでは、PHP の短いタグ <?<?= を用いています。 さらに、 制御構造に関する別の構文 も使用しています。 これらはビュースクリプトを書く際に便利なものです。 より簡潔に書くことができ、文を 1 行にまとめられるからです。

多くの開発者は、可搬性などを考慮して完全なタグの使用を好むと言われています。 実際、php.ini.recommended ファイルでは short_open_tag が無効になっていますし、 ビュースクリプト内で XML のテンプレートを使用する場合など、 短い形式の開始タグは検証エラーの元となります。

さらに、もし短いタグが使用できない設定のときに短いタグを使用してしまうと、 ビュースクリプトでエラーが発生したり コードの内容がユーザに丸見えになってしまったりします。

後者の場合のように「短いタグを使いたいけれど設定でそれが無効になっている」 場合は、次のいずれかの方法を使用します。

  • 短いタグを、.htaccess ファイルで有効にします。

    php_value "short_open_tag" "on"
    

    これは、.htaccess ファイルの作成と使用を許可されている場合にのみ可能です。 この項目は、httpd.conf ファイルに記述することもできます。

  • オプションのストリームラッパーを有効にして、 短いタグを逐次長いタグに変換します。

    $view->setUseStreamWrapper(true);
    

    これは、Zend_View_Stream をビュースクリプトのストリームラッパーとして登録します。 そして、まるで短いタグが有効になっているかのようにコードを動作させることができます。

[注意] ビューストリームラッパーによるパフォーマンスの低下

ストリームラッパーを使用すると、アプリケーションのパフォーマンスは おそらく 低下するでしょう。 しかし、実際のところどれくらい低下するのかについては はっきりと数値化することはできません。 短いタグを有効にしてしまうか、 スクリプトを書き換えてすべて完全なタグにしてしまう、 あるいはコンテンツのキャッシュをうまく行うなどの対策を推奨します。

53.1.5. ユーティリティメソッド

通常は、assign()render()、 あるいはフィルタ、ヘルパー、スクリプトのパス用の設定メソッドだけで十分事足りるでしょう。 しかし、Zend_View を独自に拡張したい場合や その内部にアクセスしたい場合のために、さらにいくつかのメソッドを用意しています。

  • getVars() は、設定されているすべての変数を返します。

  • clearVars() は、すべての変数の値を消去します。 ビュースクリプトを再利用する際に、 これまで使用していた変数を残しておきたいときなどに便利です。

  • getScriptPath($script) は、指定したビュースクリプトのパスを取得します。

  • getScriptPaths() は、登録されているすべてのスクリプトパスを取得します。 script paths.

  • getHelperPath($helper) は、指定したヘルパークラスのパスを取得します。

  • getHelperPaths() は、登録されているすべてのヘルパーパスを取得します。

  • getFilterPath($filter) は、指定したフィルタクラスのパスを取得します。

  • getFilterPaths() は、登録されているすべてのフィルタパスを取得します。